土づくりの基礎

土作りと聞くと難しいイメージを持つ人がいるかもしれません。

家庭菜園むけの栽培指南書には、野菜ごとに堆肥を○kg、肥料を○kgと書かれていますが、営農していくにはそれぞれの役割を理解して自分で土作りをしていかなくてはなりません。

深く掘り下げると難しくなってしまうのでざっくり解説します。

土作りの構成

植物を育てるとき、入れるものといえば

  1. 堆肥
  2. 主要栄養素の肥料(ぼかし)
  3. 石灰などの微量要素

があります。

それぞれの役割について個別に見ていきましょう。

 

堆肥

堆肥の役割は土壌改良です。

動物糞主体の場合肥料成分として扱う場合もありますが、ここで必要なのは有機物であり堆肥です。

一般的に良い土の定義として、団粒構造を持った土であることが挙げられます。団粒構造を持った土は、通気性がよく、保水性と同時に排水性のすぐれた土で作物の生育に適した土のことです。

畑の土は、有機物を入れないと団粒構造を持った土であっても痩せて生育に適さなくなります。これは土中にある有機物が土壌微生物によって完全に分解され土になってしまうからです。

これを防ぐために有機物を分解して作った堆肥を入れる必要があるのです。

堆肥=有機物(炭素)を窒素で分解発酵したものです。

有機物はそのまま畑に施すと発酵時に出るガスが植物に悪影響を及ぼすので、発酵させて堆肥にしてから土に入れるのが基本です。

緑肥や草生栽培はまた別記事で解説します。

堆肥の使い方

堆肥は年に1回入れれば十分です。

10a当たり大体2トンが目安ですが、堆肥の種類や土の状態にもよります。
動物堆肥よりは、稲藁堆肥や腐葉土などの植物主体の堆肥を選んで使ったほうが、土壌改良としての効果が期待できます。
堆肥の状態はC/N比を見て判断します。
C/N比は15~25のものが最適で、それ以下だと団粒構造を作れず、それ以上だと窒素飢餓を起こし作物の生育を停滞、または枯らしてしまうこともあります。
例外としてC/N比が70以上である籾殻は、分解が緩慢で窒素飢餓を起こしにくいので生のまま施用できます。(乾燥しやすいです。)

土作りにおすすめの本

私が読んだ中で分かり易かった本を紹介します。

有機栽培の基礎と実際―肥効のメカニズムと設肥設計
by カエレバ

有機栽培の本ですが、土作りに関して言えば有機の専門領域です。

現在の慣行栽培では、有機で土を良くして化成肥料で肥料成分を添加するやり方が最もポピュラーな栽培方法です。

著者の本は複数あり、どれも為になるのでいくつか読んでおくといいと思います。

 

主要栄養素の肥料

主要栄養素と言えば、N-P-K。つまり窒素-リン酸-カリです。

肥料を購入するときは肥料成分がどれだけ含まれているかで選びます。例えば14-14-14の肥料があるとすると、これは100g中にそれぞれ14gの成分が含まれているという意味になります。

これらは作る野菜によって必要分が変わってくるので、それにあわせて肥料を調整しましょう。

野菜ごとの施肥基準は、農林水産省のサイトを参考にしてください。

都道府県施肥基準等:農林水産省

例えば、キャベツ1作に必要な肥料分が10a辺り15-20-15(kg)だとします。

14-14-14の肥料なら1袋(20kg)辺りそれぞれ2.8kgの肥料成分が入っているので、必要分は5袋弱で+足りない分のリン酸分を補填すれば理論上は栽培することが出来ます。

 

野菜のやり方

野菜には肥料吸収のタイミングがあり、必要な肥料成分を一度に施してもうまく育つとは限りません。

肥料には即効性肥料や遅効性肥料があるので、それぞれの肥料を組み合わせて野菜の生理に合わせた肥料を選ぶ必要があります。

スタートダッシュ型

生育初期から肥料成分が必要な野菜です。

軟弱葉物・ニンジン・はつかだいこん・ジャガイモ・サツマイモなど。

即効性の肥料でスタート時の肥料をガツンと効かせましょう。

コンスタント型

長期間に渡りコンスタントに肥料成分が必要な野菜です。

なす・きゅうり・白菜・ブロッコリーなど。

少量の追肥を数回行って管理します。

ラストスパート型

栽培後半に肥料成分が必要になる野菜です。

トマト・スイカ・ダイコンなど。

被覆肥料などの遅効性肥料を使うのが良いでしょう。

 

微量要素

微量要素は、カルシウムやマグネシウムなどの少量しか必要のない要素のことです。

少量しか必要がないといっても、不足していると生理障害を引き起こします。

難しいのは野菜ごと、季節ごとに必要な要素が変わってくることです。

例えばピーマンやトマトは猛暑になると尻腐れを引き起こしますが、これはカルシウムが不足が原因です。しかしカルシウムが土中にあるにもかかわらず吸収しにくい状態にあるというのも考えられるので必ずしも不足しているとも限らないのが厄介なところです。

生理障害を引き起こした時は、土壌分析をするか、野菜の生長を見ながら追肥や葉面散布で足りない分を補っていくしかありません。

pH調整

土は酸性雨によってほおっておくと酸性に傾いてしまいます。

植物には成長に最適なpH値があるので、石灰(アルカリ性)で中和する必要があります。

しかしそれほど神経質になる必要はありません。目安は年に1回1aに20kgでも施しておけば問題ありません。

石灰はpH以外にも、植物の成長に必要な要素で、植物の体を強くするための栄養素になります。

pH調節以外にも石灰は積極的に使うべき資材です。

https://yurunoulife.com/2018/11/29/sekkai-2/

 

実際の土作り

私が普段行っている土作りをざっくり紹介します。

▼堆肥

買うのも作るのも面倒でほとんど入れていません。

米農家でもあるので籾殻を生のまま大量に入れています。炭素循環と呼ばれる土作りを参考に、落花生の殻や雑草なども畑に投入しています。

▼肥料

鶏糞とオール14が基本です。これしか入れていない場合もあります。

マルチを張る場合は固形肥料での追肥が難しい為、エコロングなどの被覆肥料や液肥を使っています。

たまに米ぬかぼかし(即効性有機肥料)を作って使いますが効果はイマイチです。

▼微量要素

年に1回1a当たり15kgくらいの苦土石灰を入れています。

ブロッコリーを作るときのみFTEというホウ素資材を入れています。